マニュアルとオートマどっちにしようか悩む人
個人的にはオートマ免許でOKだと思っているんですけど、マニュアル免許って必要ですか?マニュアル免許にすべき理由があるなら教えてほしいです。
そんな疑問にお答えします。
この記事を書いているぼくは、現役の教習所教官です。
男ならマニュアルだ!!
いつか役立つときがくる!!
ぼくの世代では、こんな考え方が一般的でした。
同級生でも「男でオートマは1~2人いるかいないか」ってくらいに。
ただそれは過去の話で、最近のお客さんの傾向だと男性でもオートマ免許を取る人がだいぶ増えてきたなぁって印象ですね。
うちの教習所だと男性でも5割オートマだったりします。
結論からいうと「とりあえずマニュアル免許」なら、絶対いらないです。
その理由を詳しく解説していきますね。
【教官が断言】マニュアル免許はいらない【存在意義がないです】
マニュアル免許がいらない理由は…
「準中型免許」にすべて持っていかれたから!
これに尽きます。
この準中型免許が登場したことにより、「マニュアル免許をとる意味」がほぼほぼ無くなってしまったんですよね。
それでもあえてマニュアル免許をとる意味を挙げるとすれば、
プライベートでマニュアル車に乗りたい!
っていう目的のためだけに限定すれば存在意義があるかと…。
準中型免許だとマニュアル免許に比べて、金額が高くなりますからね。
ざっくり料金を比較するとこんな感じ。
- マニュアル免許 ⇒ 税込で30万くらい
- 準中型免許 ⇒ 税込で35万くらい
教習所によって値段に差はありますが、一般的にはこんな感じです。
それでは、「マニュアル免許の存在意義をうばった準中型免許」について詳しく見ていきましょう。
存在意義をうばった「準中型免許」とは?
2017年3月12日に「新たな免許区分」として追加されたのが準中型免許。
- マニュアル免許と同じく18歳からとれる
- 俗にいう「4tトラック」が運転できるようになる
この2つが大きな特徴といえるでしょう。
近年「トラックドライバー不足」と言われているのが日本の物流業界の現状です。
18歳でも4tトラックが運転できるようになる準中型免許は、ぶっちゃけ想定していたよりも “需要大” でした。
そんな準中型免許とマニュアル免許を「教官の立場」で比較していきます。
マニュアル車がいらない理由①:実用性がほとんどない
プライベートで乗る車のほとんどはオートマチック車が主流でしょう。
ぼくもオートマチック車に乗っていますし、きっとあなたのおうちの自家用車もオートマチック車じゃないでしょうか?
「マニュアル車を仕事でつかう」ってのは”まれ”です
マニュアル免許をあえて取りにくる理由のひとつに、
就職先で「マニュアル免許とってこい」って言われたからマニュアルにしました!
こんなのがありますね。
でもこれって最近だとけっこう”まれ”だったりします。
ぼくは年間2,000人ほどのお客さんを教習しますが、こういった理由でマニュアル免許をとりに来るお客さんは今はほとんど見かけないですね。
普通車のマニュアル免許だとトラックドライバーにもなりにくい
現行の普通マニュアル免許で運転できるトラックは「2tトラックまで」です。
2tトラックを主力としている運送会社は、そうそうありません。
それに2021年4月現在、厚生労働省と全日本トラック協会がタッグを組んで、ドライバー育成支援プロジェクトが実施されています。
その対象免許もこのとおり。
- 準中型免許
- 中型免許
- 大型免許
ここに普通マニュアル免許は含まれていません。
トラックドライバーとして戦力になるのは「準中型免許から」ということかもしれませんね。
タクシードライバーも最近はオートマ車が増えている
ゆくゆくタクシードライバーを目指す人にとっては、マニュアル免許をとるのは悪くないと思います。
しかし、タクシー業界もオートマチック車を使っている会社ばかりなのも事実。
もしかしたら、「マニュアル車を運転できた方が就職の幅が広がる可能性もあるかも」知れません。
ただ、うちの教習所に普通二種をとりにくる人の8割はオートマ免許です。笑
きっと、そういうことなんでしょうね。
マニュアル車がいらない理由②:使う予定がないと操作を忘れます
「とりあえずマニュアル」で免許をとった先輩たちに聞いてみてください。
「マニュアル運転する機会あったのか?」と…!!
「今でもマニュアルの操作を覚えているのか?」と…!!
使わなければ忘れちゃうのは仕方がないことです。
どうせ忘れちゃうのに、そこにお金を払う意味って…。
マニュアル車がいらない理由③:免許費用が追加になるリスクがある
マニュアル免許で運転練習をする時間は、初めて免許をとる人で「最低34時間」です。
そのうち、教習所のコースを使って仮免許をとるための練習時間は「最低15時間」です。
つまり15回の練習で、
- マニュアル車の操作を覚える
- マニュアル車をコントロールできる
- 運転席から見えない部分がイメージできる
これらが身に付いていなければ、試験に不合格となりやすいってこと。
不合格になれば、追加料金が発生します。
- 補習の料金(4~5千円くらい)
- 再試験の料金(5~6千円くらい)
だいたい1万円追加は覚悟しておいてください。
準中型免許で試験に落ちるのは”まれ”です
準中型免許で運転練習をする時間は、初めて免許をとる人で「最低41時間」です。
そのうち、教習所のコースを使って仮免許をとるための練習時間は「最低18時間」です。
単純に、練習する時間が3時間分ながいですよね。
それだけ運転技術がしっかり身に付くということ。
✔準中型免許はマニュアル免許と同じ試験内容です
準中型免許は「トラック」でマニュアル免許は「乗用車」を使うのに、試験で使うS字やクランクといった課題は同じ場所を使います。
それだとサイズが大きいトラックのほうが難しいんじゃないの?
実はそうでもありません。
準中型トラックは、「ミラーですべての状況を把握」できちゃうんです。
さっき、マニュアル車で試験に合格するためのポイントを3つ紹介しましたね。
- マニュアル車の操作を覚える
- マニュアル車をコントロールできる
- 運転席から見えない部分がイメージできる
準中型免許なら、「運転席から見えない部分がめっちゃ少ない」ってこと。
実際に写真で比較してみましょう。
✔準中型トラックの見え方
とくに運転席のまえの部分がミラーで確認できるので、試験もスイスイです。
座席位置が高いから見えない部分が少ないのも、試験に合格しやすいポイントですよ。
✔マニュアル車の見え方
さきほどの準中型免許と比べると運転席のまえの部分が”見えにくい”ですよね。
これが原因で「乗り上げ」や「接触」を起こして、試験失格になる人がいるんです。
そういったリスクを回避できるのが、準中型免許ってわけです。
まとめ:マニュアル免許はいらない ⇒ オートマでOKです
ぼくの時代のマニュアル免許って「今よりも乗れる車が豊富だった」んですよね。
平成19年までのマニュアル免許 | 現在のマニュアル免許 |
---|---|
車両総重量8トン未満までOK | 車両総重量3.5トン未満までOK |
最大積載量5トン未満までOK | 最大積載量2トン未満までOK |
乗車定員は10人までOK | 乗車定員は10人までOK |
これが「とりあえずマニュアルとっとけ」って言われる理由だと思います。
「昔のマニュアル免許=今の準中型免許」みたいな立ち位置だったんです。
4トントラックが運転できるなら「とりあえずマニュアル」って言われても、ウンウンってなります。
しかし現在のマニュアル免許で運転できるのは「ほぼ乗用車のみ」にもかかわらず、よく調べもせずに「とりあえずマニュアル」っていう親がまだまだ多いですね。
ぶっちゃけムダ金です。
- 教習料金が追加になるリスクがある
- とっても使わないなら忘れるリスクがある
- 「いずれ役立つ」のいずれはほとんど来ない
車を運転するだけなら、オートマ免許で十分です。
マニュアル免許にしておきたいなら、「準中型免許一択」だと思いますよ。
というわけで以上です。
「マニュアル免許は不要派」の教官の戯れ言でした。
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こちらの記事を参考にどうぞ。