「バイク用のプロテクターってぶっちゃけ効果あるのかな?」
「着けてる人の意見を聞きたい」
そんな疑問にお答えします。
この記事の内容
この記事を書いている私は、教習所の現役教官です。
今までに携わったライダー育成は1,500名を余裕で超えます。
そんな私が、バイク用プロテクターの重要性について詳しく解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
バイク用プロテクターをおすすめする理由→自己保全
バイク用プロテクターをおすすめするのは、当たり前ですけど自己保全のためです。
ルール上の着用は義務化されていませんが、着用した方が万が一の交通事故のとき、自分の命を守れる可能性は格段に上がるのは言うまでもありません。
命あっての物種。
自分の命を守るための投資と考えれば、決して高い買い物ではないんじゃないでしょうか。
バイク事故の死亡率
上のグラフは、2018年の死亡事故を形態別に分けたものになります。
歩行中の死者数とバイク乗車中の死者数が同率1位なのが分かりますね。
バイク乗車中には、原付も含めています。
この図から、バイクの死亡率が極めて高いことが読み取れます。
そもそも自動車(四輪車)の8分の1ほどの保有率であるバイクの方が死亡率が高いって怖いですね。
それだけバイクで事故った場合に死亡する確率が高いってこと。
まぁ、身体はむき出しですからね。
時速60kmのスピードで事故った場合、ビルの5階から飛び降りたときと同じくらいの衝撃を受けるワケです。
控えめに言って、死にます。
私たち運転者は自動車の運転が日常過ぎて、どうにも感覚がマヒしているところがありますが、車の運転とは人間の能力を超える所業です。
慎重すぎるくらいが本来はちょうどいいのかもしれませんね。
バイク事故で死亡に繋がる損傷部位
第1位「頭部」
41.1%
第1位は頭部。
ヘルメットが着用義務化になっているのにもかかわらず、頭部損傷で死亡している人が多いってのはどういうことか。
原因は3つ考えられます。
ヘルメットを被っていない
そもそもノーヘル運転をしている人、現代でもわりといます。
特に若い方に多い傾向がありますね。
無免許運転とノーヘルがセットになっているような感じ。
それから、高齢者にもノーヘル運転している人がちらほらいますね。
つば付きキャップを被ってカブを運転しているおじいちゃんが、歩道を走行しているとかたまに見かける光景です。
ヘルメットを正しく被っていない
ヘルメットの正しい着用をしていない人は実際かなり多いですね。
自分では正しいつもりになっている場合が多いんです。
ヘルメットを正しく着用するポイントはたった2つ。
- ヘルメットのサイズをちゃんと選ぶこと
- あごヒモをしっかり締めること
とくにあごヒモが緩んでいるライダーの方が多いようです。
交通事故のとき、ヘルメットがすっぽ抜けて頭を強打して亡くなっているケースが多く報告されています。
都内ではなんと40%超えで、交通事故のときにヘルメットがすっぽ抜けているというデータもあるくらい。
あごヒモは、指一本がギリギリ入る程度のゆとりが限界です。
それ以上にゆるゆるだと、いざというときにヘルメットがすっぽ抜けるリスクを高めることになるので、十分に気を付けてください。
ヘルメットの耐久性能を上回る衝撃
単純にスピードの出し過ぎ。
バイクは機動力が高く、多くのライダーがすり抜けや無理な追い越しをしがち。
いくらヘルメットを被っているからと言って、衝撃が0になるわけではありません。
ヘルメットの耐久性能を過信し過ぎず、理性ある行動を取ることが大切ですね。
第2位「胸部」
29%
胸部はほとんどの人がプロテクターを着用していないので、死亡に繋がる損傷部位として毎年上位にランクインしています。
2017年では、頭部を超して死亡に繋がる損傷部位第1位をマークしていました。
第3位「頸部」8.3%
第4位「腹部」6.5%
この結果を鑑みると、死亡に繋がるダメージは大半が上半身に集中していることが見て取れますね。
毎年順位の変動はありますが、頭部と胸部のツートップに揺らぎはありません。
バイクを運転するうえで、最低でも頭部と胸部の保護は必須と言えるでしょう。
バイク事故の負傷主部位
第1位「脚部」35.1%
第2位「腕部」22.2%
第3位「頸部」16.1%
死亡にまでは至らないけど、バイク事故はケガのリスクが高いのも事実。
ケガをすれば日常生活に支障が出るのはもちろん、最悪仕事を続けられなくなる場合も想定できますよね。
上記のランキングを見ると、日常生活で必須レベルともいえる手足の損傷が半数以上を占めているのが分かります。
数か月間、手足を動かせなくても仕事を続けられますか?
私なら死活問題です。
バイク用プロテクターは、死亡リスクに備えるだけが目的と考えず、ケガのリスクにも備えられ、生活を守れる可能性があるわけですね。
昔はヘルメットも自由着用だった
若い方はご存知ないかもしれませんが、全てのバイクでヘルメットの着用が義務化されたのは1986年からなんです。
それ以前は、条件によりヘルメットをしなくても良い時代がありました。
1974年以前では、全ての道路でノーヘルOKだったというんだから驚きです。
それが当時は普通のこと。
誰も疑問に思わずにノーヘルで運転していたわけです。
今の我々から見たら、ちょっと怖いって思いますよね。
なぜなら、万が一の事故のときに頭部の損傷で命を落とすリスクが高すぎるのは、上記の図を見ても明らかなことだから。
教習所教官である私の見解では、そう遠くない未来にバイクのプロテクター着用も義務化されることは必然だと思っています。
なぜなら胸部の損傷による死亡事故が、頭部損傷の比率を超える年も出てきているから。
既に、各都道府県ごとにプロテクターの着用推進化の動きがあります。
今は呼びかけや告知程度ですが、当時のヘルメット着用義務化になるまでの流れと同じことが起きているんですよね。
10年後にはきっと常識が変わっていると思います。
今の我々を振り返ったとき、「プロテクターしてないとか自殺行為」みたいな感情が生まれるかもしれませんね。
最後に:プロテクターを過信し過ぎない
プロテクターは、命の安全を保障するものではありません。
プロテクターを着用したからと言って無茶な運転をしていれば、ケガや死亡するリスクはどうしたって増えてしまいます。
しかし、この記事をここまで読み進めて頂いたあなたなら、そんな運転は恐らくしないでしょう。
プロテクターに興味を持っている時点で、他のライダーよりもだいぶ安全意識が高いです。
ただ、交通事故ってのは、自ら起こさなくても、巻き込まれるパターンがあるんですよね。
その時、プロテクターがあるのと無いのとでは大違い。
プロテクターは、いわば鎧。
命を落とすかもしれない戦場に鎧を付けていくのは、先人がやっていること。
交通社会も同じです。
日割り計算で毎日8人以上が亡くなっているのが、日本の交通社会です。
様々な危険に対して、最善の手を打っておいて損はありません。
冒頭でも述べましたが、運転ってのは、慎重すぎるくらいがちょうどいいんです。
命を、生活を守る投資として、プロテクターの着用をぜひ前向きに検討してみてください。
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
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