こんにちは、教官です。
高齢者の交通事故が多い現代ですが、実は車に乗っていて事故を起こすよりも高齢者が歩行中に交通事故に遭遇するケースの方が多いのです。
2018年の交通事故死者数が3532名であり、そのうち高齢者の死者数が1966名。
年間の死者数のうち55.7%が高齢者であり、高齢者がかなり犠牲になっているのがわかりますね。
ここでいう高齢者とは65歳以上を対象にしています。
おそらく皆さんも運転していて、高齢者があり得ないようなタイミングで飛び出してきたなんて経験があるんじゃないでしょうか?
私はしょっちゅうです。笑
この記事では、高齢者がどんな状況で交通事故に遭遇しているか、高齢者の行動特性を含めて詳しく解説していきます。
ご家族と合わせて事故に遭わない様にしてもらいつつ、私たちも高齢者の行動特性を理解して、事故を起こさない様に心掛けていきましょう。
「アジのひらき」とは?
「アジのひらき」とは、高齢者が交通事故に遭遇しやすい状況をまとめた語呂合わせです。
- あ→歩いているとき
- じの→自転車に乗っているとき
- ひ→左からくる車に注意
- ら→ライトを点灯させる時間帯に注意
- き→近所での事故に要注意
こんな感じです。
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
高齢者の事故は歩行中が一番多い
平成30年の交通事故のうち、高齢者の死者数が1966名と上記しました。
その内訳としては
- 自動車乗車中 631名
- バイク乗車中 36名
- 原付乗車中 101名
- 自転車乗用中 294名
- 歩行中 899名
- その他 5名
となっており、車での事故よりも歩行中の方が多いことが分かりますね。
自転車に乗っているときの事故も294名となかなか多いですね。
歩行中と自転車乗用中を合わせると1193名にもなり、高齢者の年間死者数の半数以上がこの2パターンになっているのが分かります。
高齢者が歩行中に交通事故に遭ってしまう原因はたくさんあります。
左からくる車に注意
歩行者が道路を横断するとき、自分から見て左からくる車に跳ねられてしまうことが多くあります。
私たちも、横断歩道のない道路を横断することがありますよね。
どんなタイミングで横断を始めますか?
完全に車が来なくなるまで待っている人は少ないんじゃないでしょうか?
車とある程度の距離があったり、その車が出している速度によっては、車が来ていても横断し始めることもありますよね。
「このタイミングなら行ける!」
そんなタイミングが、各々あるんじゃないでしょうか。
これって、明確に定義付けされているわけではありません。
各々のタイミングなのです。
高齢者が道路を横断するときは、横断を始めるタイミングを
若い時のタイミング
で横断してしまうようです。
つまり、自分の身体機能が衰えていることを考慮していないんですね。
日本は左側通行なので、歩行者から見れば右側からくる車よりも左側からくる車の方が奥になるので、渡り切る前に事故に遭ってしまうようですね。
逆に私たち運転者は、運転中に右からくる歩行者の飛び出しに十分注意して運転しましょう。
ライトを点灯させる時間帯に注意
ライトを点灯させる時間帯とは、夕暮れ時から明け方までの時間帯になります。
やはり、夜間は歩行者の発見などが遅れやすい傾向があるので十分に注意が必要です。
先ほどの右から飛び出してくる歩行者と絡む話ですが、日中よりも夜間の方が右から飛び出してくる歩行者を跳ねやすいです。
自動車のヘッドライトは、左右で照射範囲に差があるのを知っていますか?
左側のヘッドライトは歩道の歩行者等の動向を察知できるように遠くまで照らしています。
対して右側のヘッドライトは、対向車がまぶしくないように光軸を若干下げているので照射範囲が少し短くなっているのです。
つまり左からの歩行者は発見しやすいけど、右からくる歩行者の発見は遅れやすい傾向があるわけですね。
近所での事故に要注意
高齢者が交通事故に遭ってしまう最も多い場所が
自宅の近く
なのです。
普段から慣れ親しんでいる環境なので、警戒心が甘くなってしまうそうです。
これは高齢者に限ったことではないかもしれませんね。
普段からよく通る道路では、一時停止をちゃんと止まらなかったり見通しの悪い交差点で徐行しなかったりするのは高齢者だけではありません。
家のすぐ近くで家族が交通事故に遭うってのは、心が痛くなりますね。
高齢者の特性を知ろう
最後に、高齢者の特性を良く知ることで私たち自身も高齢者の飛び出しなどに対する心構えを持つことが出来ます。
以下の点をよく認識しておいてください。
- 確認から行動へのタイムラグ
- 横断中に確認しない
- 安全の見極めが甘い
- 視野が狭い
確認から行動へのタイムラグ
高齢者にもなると、身体機能や反応速度の低下が見て取れます。
安全確認してから実際に動き出すまでに時間が掛かってしまうのですね。
ただ、本人はそんなこと全然思っていないでしょう。
なので、私たちからしたら
「え!?今渡り始めるの!?」
みたいな驚きの行動をしてくれるのです。
高齢者を見かけたときには
「ここまで来たら渡らずに待っているだろう」
などと、私たちの常識で物事を考えないように気を付けてください。
横断中に確認しない
これなんでなのかめっちゃ不思議です。
一度渡り始めたら、なぜか周りを見ないんです。笑
よっぽど自分の判断に自信を持っているのか、よっぽど歩行者優先意識が強いのか。
理由としてはそんなところでしょうか?
たとえ車が近付いていたとしても、止まってくれるだろう
そう考えているのかも知れませんね。
しかし実際には、漫然運転が交通事故原因の第1位になるくらい、ボーっと運転している人が多いのが現実です。
高齢者の方々が、もっと安全確認の意識を強く持つようにご家族でのサポートも大切になってきますね。
安全の見極めが甘い
高齢者は、行くか待つかの判断をする場合、ほとんどが「行く」を選択してしまうような判断の甘さがあります。
これも上記した内容と重複しますが、やはり歩行者優先意識が強い人が多い傾向があるように感じますね。
視野が狭い
高齢者は、前かがみになっている人も多いですよね。
そんな方々は視線が下に落ちて視野が狭くなっています。
他にも高齢者全般に言えるのが、緑内障という目の病気によって視野が狭くなってしまうということ。
緑内障は、40代前半から発症しやすいとされています。
長い年月をかけてすこーしずつ視野が削れていくので、本人が緑内障である自覚を持っている人はかなり少ないそうです。
20年、30年と経ったある日、
「なんか昔と比べて見えにくいなぁ」
という感じで病院に足を運び、そこで初めて病気に気付くというケースもあるそうです。
緑内障は進行し過ぎると、自分で履いている靴の紐すら結べないほどに視野を削られてしまう恐ろしい病気です。
こんな状態で歩いていたり自転車に乗っているので、私たちの常識で行動予測をするとかなり危険であると思っておいてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
高齢者の多くが歩行中や自転車乗用中に交通事故に遭っているという事実。
その理由としては、高齢者の身体機能や反応速度の低下。
この記事で知り得た、高齢者がどんな状況で交通事故に遭遇しているか、高齢者の行動特性を事故防止に役立てていただけたら幸いです。
「アジのひらき」
ご家族で安全知識を共有して、安全な暮らしを送ってください。
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